「農家の姑」の気持ち

農家の長男と結婚してみた
09 /20 2017
こんにちは。福原です。

先日は、台風18号の影響で大変な風雨でしたね。ニュースによると、大きな被害の出たところもありましたが、皆さまのところは大丈夫でしたでしょうか。

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当農園でも、強風で栗の枝が折れていたり、防獣ネットが緩んだりしているところがありましたが、幸いびわの木は小さな苗木も含めて無事でした。気象は人間の力ではどうにもならない からこそ、備えができる部分はしっかり対策をとりたいと思いました。

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さて、突然ですが今回は、「農家の嫁」ではなく、「農家の姑」の気持ちにスポットを当ててみる企画。。。

試しに「農家の嫁」ってネットで検索してみると、「休む間もなくこき使われ、家の労働力としてしか扱われない」「朝から晩まで働いても、お給料が出ない」「出かける自由もプライバシーもない」「周りに相談できる相手もいないので、孤立無援」。。。とないない尽くし。

それって奴隷じゃ?と思うような記述や、逃げるように離婚したとか自殺を考えるとか暗い話が多くて、ひえ~今時、こんな恐ろしい世界があるの。。。と驚いちゃいます。私は、酸いも甘いもかみ分けた?アラフォーで嫁いだからか、マイペースに楽しくお仕事させていただいています(嘘ぢゃないです!)。

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一方、かつての農家の嫁だった「農家のお姑さんの気持ち」って、調べてみてもあんまりヒットしないんです。今も昔も農家の嫁は大変だと言うけれど、実際に農家のお嫁さんとして長く頑張ってこられた方の気持ちを一度ちゃんと聞いてみたいなぁと思ったわけです。

以下、うちのお義母さんの気持ちをインタビュー形式でご紹介。

※ちなみに、うちのお義母さんは元銀行員。サラリーマンの妻になるつもりで20歳(!!)でお見合い結婚したが、色んな事情が重なって突如、夫(私のお義父さんですな)の実家であるびわ農家を自分が中心になって切り盛りすることになり(もちろん農業経験はなし、心構えもなし)、それから40年以上もの間、当農園を守ってきてくださったすん~ごい人です。

Q:一般的に「農家の嫁は大変だ」と言われていますが、どう感じますか?
A:とにかく嫁ぐ家による。家でも仕事でもずっと家族と一緒にいるのが農家。毎日密に関わる。一緒に居て苦痛な人たちだったら、無理。気持ちの優しい人たちだったら、大丈夫。酷い目にあった人もたくさん知っているけど、私はいびられたことはない。いびられる嫁も昔よりだいぶ減っている。農家をひとくくりにするのは間違いだと思う。

Q:20歳で農家に嫁いで、困ったことは何ですか?
A:今思い出しても、やったことないことばかりで本当に大変だった。親や親戚など周りの人も、苦労するところに嫁に行っちゃたねと心配していた。でも自分は、こんなはずじゃなかったとか、逃げ出してやろうとか、そういう発想にはならなかった。とにかく、田植えだ、次はびわの収穫だと目の前にやることがわんさかあったので、それをやるしかない、それが当たり前と思ってやってきただけ。

Q:40代で嫁いでいたら、何か変わっていましたかね?
A:20代の勢いがあったからできたのかも。逆に40代だったら、嫁いでないだろうなぁ。。。

Q:農家に嫁いで良かったなと思うことは何ですか?
A:①毎日いい汗流してビールがうまい。
②毎日身体を動かすので、太りすぎなくていい。
③ほとんど自然相手なので、人間関係の変なストレスがない。
④いつ仕事をするか、どういう方法でやるかなど、自分の裁量でできることが多い。
⑤結果が目に見えるので喜びが大きい。

Q:逆に、農家に嫁いで辛かったことは何ですか?
A:毛虫がいること。

Q:農家の嫁に必要な素質って何だと思いますか?
A:①健康なこと。どこか身体が悪くても農業ができないわけじゃないけど、健康じゃないと苦しいと思う。
②外からの刺激を受ける機会が少ないので、自分で創意工夫する発想力が必要。
③農家の仕事にどっぷり浸かってしまうと視野が狭くなってしまうので、どんどん外に出て色々な人と情報交換できる社交性はあったほうがいい。色んな風を入れる。

Q:40代の嫁(私)を迎えるにあたって、何を考えましたか?
A:特に何も考えなかった。今まで通りにしようと。もし、体力的な不安とかこっちにお友達がいないとかで辛い思いをしたら可哀想だなぁとは思ったが、40代だし、色々承知した上で来てくれるからありがたかった。


てなわけで、インタビューはこんな感じで終了。全く心の準備もなく、びわ農家の嫁となったのに、その数奇な運命?を前向きに楽しんじゃっているうちのお義母さんは、すっきりさっぱりの、とても強くて優しい女性です。

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(素敵な暮らしをしている女性代表ということで、雑誌に取り上げられたことも)

しかしながら、私にはひとつ気になったことがあります。今では嫁を温かく迎えてくれる農家も増えてきたということですが、かつてのお嫁さんの中に、「自分はさんざん意地悪をされたんだから、姑になったら嫁にも同じ目に合わせてやるぜ」というお姑さんと、「自分が苦しんできた状況を繰り返してはならない、嫁が生活しやすいように配慮してあげよう」というお姑さんの2タイプに分かれるのは何ででしょう? どこに分かれ道があるのでしょうね。

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私はこう考えました。お嫁さんには自分と同じ目に合わせたくないと思う反面教師タイプのお姑さんは、かつて、受け止めてくれる誰かに怒りや悲しみを吐き出せていた人、長い時間をかけて、心の中の怒りや悲しみを整理することができている人なのかもしれません。

マイナスの感情は蓋をしたままだと、ある時一気に噴出してしまいます。人間てそういうことに気付かず、負の連鎖を生み出してしまうところがありますよね。例えば、自分が親から虐待を受けてきた人が、自分はあんな親みたいにはならない と誓っていたはずなのに、親になってふとした瞬間に子どもに手を挙げてしまう人がいるのと同じ構造かなと。

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(他にも、私の周りには魅力的な農家の元嫁がたくさん!)

一口に農家と言っても、何を作っている農家なのか、家族経営なのか、もっと大きな規模なのか、専業(兼業)農家なのか、同居(別居)なのか、など色々な条件でも状況は変わって来ると思いますが、どんな農家であっても、辛いことや家族と意見が合わないこと、もうこんなのヤダ~と思うことはゼロではないはず。あって当たり前。

そんな暗い気持ちが心に充満した時は、冷静に言葉にして伝えたり、時には泣いたり怒ったりして自分が困っていることを外に表現したほうがいいんだろうなと思いました。「我慢するのが嫁 」みたいな古い価値観が根強い地域、家もまだまだあるそうですが、溜めないこと、それが女性が生き生きと働ける農村 に変わっていくための小さな一歩なのかもしれません。

もし、皆さんのそばに、「好きになった人が農家の長男だ 」ということで悩んでいる人がいたら、ぜひこのブログのことを教えてあげてくださいませ。

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農家って言ってもどこの農家に嫁ぐべきかの話

農家の長男と結婚してみた
08 /18 2017
こんにちは。福原です。

前代未聞に日差しが少ない今夏。そんな中でも、トウモロコシが実りの季節を迎えています。

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茹でて食べるだけだと飽きてしまうのですが、フライパンで転がして焼くと香ばしさ満点。バター醤油味です。

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さてさて、ここ最近取り組んでいる作業。何らかの理由で枯れてしまったびわの木を撤去して

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そこに新しい苗木を移植するお仕事。

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枯れてしまった理由は、土の中にある病気の菌が入ってしまった、虫に幹を食べられて弱ってしまった、など色々です。

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枯れた木を撤去する方法としては、根こそぎ引っこ抜くか、それが難しい場合は根元からノコギリで伐採します。

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スコップで新しい苗木を埋める穴を掘って元肥を入れ、そこにポットから出した元気な苗木をセット。土をかぶせたら作業完了です。

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びわの一部の枝だけが枯れている場合は、その部分だけをノコギリで切り落とすことも。下は、大きな枝が浮いててイリュージョンみたいになってますが、切った枝が他の枝に引っかかってなかなか落ちないでいるところ。木に登った状態でノコギリを使うので、高度なテクニックを要します。

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常に苗木を健康な状態で維持し、育て上げ、収穫できるように備える努力が、5年後、10年後の農園の未来を左右すると言えます。現在の主力であるびわの木たち(20年選手かそれ以上)が、いつ引退しても大丈夫なように。

ああ、それにしても感慨深い。苗木の移植作業。実は、私が一番最初に行った農作業がこれなんです。結婚前に、当農園で農業研修をさせてもらった際に体験しました。

眼を閉じると、あの時の感動を思い出します。「自然の中で汗をかくって、なんて気持ちいいの!」と心を震わせながら、穴掘りの疲れや筋肉痛などものともせず、ただただ楽しくて、張り切って作業をしたものです。

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現在はというと、手の痛みが悪化しないよう、こういったバリバリの肉体労働は上司(である夫)に任せ、私はあまり手に負担がかからない作業(肥料まきや害虫駆除など)を中心に担当しています。残念ながら、穴掘りもあまりやっておりません。。。

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まぁ、それはちょっと置いといて、初めて農業研修に来て穴掘りしたその約半年後、私は就農すると同時に当農園の長男の嫁になったのでした。

「農家の長男と結婚することにした」と周りの人に告白した時、結婚願望ゼロの仕事人間を公言していたためか、ずいぶん驚かれました。

え?農家の嫁は大変だと聞くけど、大丈夫なの?」「その年齢で農業始めてやっていけるの?」と心配もされました。そう言われるのも無理はないです。農家のことも、作物のことも、自然との付き合い方も、何も知らない人間でしたから。

でも、私は本気でした。

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(以下、適当な写真がないので、農園で撮った写真が続きます)

そんな田舎に行くなんて、よっぽど旦那さんになる人に惚れてるんだね~」とも言われましたが、それも少し違いました。愛した人がたまたま農家の人だったわけでも、農家の人と結婚したから仕方なく就農したわけでもなく、最初から就農したかったんです。

私は、これまでの職業人生で繰り返し失敗し、悩み、苦しんできた課題=「仕事のやりがいやプロ意識を追求するあまり、心と身体のバランスを崩してしまう」を克服するためには、180度環境を変えてみるしかない、凝り固まったワーカホリックから卒業するには就農し、田舎暮らしにどっぷり浸かるのが良いかもしれないという考えに行き着いていました。

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日が暮れたらうちに入らざるをえない、残業したくてもできない農業。自然や天候次第だからこそ、無理をしない暮らしが実践できる農家。自分自身についてしまった垢みたいなもの(悪習慣や思考の癖)や、福祉や医療の仕事でどっぷり漬かってきた人々の病理みたいものから少し距離をおいてみて、生き物からエネルギーをもらったり、摂理を教わったりする生き方に賭けてみたかったんです。

なので、夫(である、今の上司)と知り合う前から、農家の仕事が本当に自分に出来そうかどうかを探っていました。今の時代は、未経験でも農業を試みることができるボラバイトWWOOF(ウーフ)などの仕組みがあるので、就農を志す人への門戸は広く開かれています。

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とはいえ、農業って言っても幅が広い。コメ農家もあれば、野菜農家もある。果樹農家もあれば、花農家もある。牧場で働くのだって農業です。家族経営の農家もあれば、株式会社や農業法人の形態をとっているところもあります。

農業やりたいって言う割に、農業のことを全くと言っていいほど分かっていなかった私は、どういう作物を育てたいかとか、どんなスタイルの農家で働きたいかなどを選べなかったんですよね。

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転職するのに具体的に何がしたいかがはっきり言えなかったなんてお恥ずかしい話ですが、自分が唯一こだわったポイントは、「この年齢で就農したいという人間を温かく迎えてくれて、丁寧に指導してもらえるか」です。言い換えれば、「焦りとかプレッシャーとかをあまり感じずに、安心して農業を覚えていけそうな場所かどうか」をさり気なくチェックしたということ。

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そういうわけで、縁あって当農園の農園主と知り合った私は、農業研修などで実際の農作業を体験しつつ、農園のメンバーと交流するうちに、「この人達なら、自然の中で働く喜びを教えてくれそう」「アホな私でも、あきらめずに面倒?見てくれると信じられる!」という気持ちになっていきました。

元々は雇用される形で農業の経験を積ませていただくことを想定していたのですが、そのうち「結婚して家族になるほうが田舎では自然。後半の人生、それも面白いかも」と思うようになり、あっという間に長男の嫁になったわけなんです。

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おかげさまで、「こんなこともできないの? こんなことも知らないの?」と言われたことはただの一度もなく、「経験のないことなのに、よく頑張ってるよね」と農園の皆さんに温かく育てていただいています。

複数の福祉系の現場を渡り歩いて、色々な人の人生や家族の形を見させていただくことが多かった前半の人生。そこで学んだことが、どこの農家で就農するかの判断基準にとても役立ったなと思っています。

「別にびわ農家じゃなくても良かったんじゃないの」と言われれば、まぁそうなのですが、結果的に今、びわの仕事が楽しいと思えているので、自分にとっては正しい選択だったんだと思います。

こういう形での就農&結婚はかなりのレアケースみたいですが、どなたかの参考になれば(ならないだろうな)幸いです。

それではまた懲りずにお会いしましょう。

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福原祐美

千葉県南房総市在住です。
内房線富浦駅から徒歩50分のところにある「福原農園」が仕事場、兼、住まいです。
アラフォーです。

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房州びわを手にとる人に、「びわ農家がどんなことを考えて、どれぐらい手をかけて、びわを育んでいるか」を遠くからでも知っていただけたらなあ、そして福原農園をもっと身近に感じていただけたら嬉しいなあという気持ちでおります。

最近まで20年くらい福祉のお仕事に就いていましたが、突如、自然豊かな南房総で就農することを思い立ちました。

「対人のお仕事から作物を育てるお仕事へ」「都会の喧騒に囲まれた生活からTHE田舎暮らしへ」「独身貴族から農家の長男の嫁に」。。。といういくつもの転身を経て日々感じていることも、好き勝手に書こうと思っています。

色々な方と交流することでより人生は深まると考えておりますので、コメントはお気軽にどうぞ。いつでもお待ちしています。