新人育成は"ゆっくり"の保証から

転職先としての農家を考える
04 /04 2017
こんにちは。福原です。

すっかり春らしくなり、陽だまりの中にいるとほっとできますね。

庭先には、ユスラウメが咲いています。

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さて、当農園では、今日も一日びわの袋かけをやっていました。

私は脚立や木登りにもだいぶ慣れ、小さなびわの木であれば、自身で完成(低いところから高いところまで全ての実に袋をかけ終わること)できることもあって、そういう時はご満悦です。

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それにしても、約1か月前にびわの仕事を始めたばかりの頃と比べると、袋かけに対するモチベーションはずいぶん変わりました。

最初は、言われたことを言われた通りにやるだけの余裕のなさでしたが

少しずつ、「このびわの木は何年前から育ててこんなに大きくなったのかな」「実を付けるまでにどのくらいの人の手がかかっているのだろう」と想像したり、「収穫時まで自分がかけた袋がしっかり実を包み続けてくれますように」と祈るような気持ちになったり

より正確に、より大切に袋をかけるようになったと自分では思います。

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振り返ってみると、最初に袋かけの方法を教わった時に繰り返し言われたのは

作業スピードは遅くてもいいから、とにかく丁寧に

でした。

ベテランの人の半分も枚数こなせなくても

それで十分。始めたばかりなのだから、ゆっくりコツを掴んでください

と言われました。

分からないことがあれば、何でも聞いてね

といつも言ってもらいましたし

何度同じような質問をしても、私の指導者たち(全員家族ですが)は、いつも面倒くさがらずに分かりやすく答えてくれました。

誰かが袋かけをしている姿から技術を盗もうと、「家政婦は見た」のように背後から近づいてみたり

もう一度とせがんで、目の前で袋かけのお手本を何回も見せてもらったり。

とにかくゆっくり育ててもらっているなと感じます。


上司(である夫)も、上っ面だけ覚えて、雑な仕事が定着してしまう例をいくつも見てきて

農業は、基礎さえしっかり身に付けば、あとは自然にこなれていくので、最初にしっかり基礎を作れるような環境を提供するのが指導者の役目

と考えているようです。


また、実がたくさんついている枝に負荷をかけすぎて、枝ごと折れて落ちてしまった時も

全然気にしなくていい。枝を折らないと、どういう時に枝が折れるか学べないんだから。

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じーん。

ああ、枝を折ったことを隠蔽しなくて良かった。。。

袋をかけるびわの実は、去年の冬頃に全ての枝に対して行ったという"摘花"(100近くあるびわの花のかたまりのうち、数か所ずつ良さそうな部分だけ残すという作業)したものなので

今、(後から嫁に来た私が)びわの実や枝を折ってダメにしてしまうことは、「びわの実コンテスト出場候補」として数か月前から選抜、鍛えられてきた選手が大会に出場できなくなるというだけでなく、これまで訓練に携わってきたコーチ達の苦労も無にすることを意味するわけで、かなり責任を感じる事態。。。

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ミスる度に、誰も見ていなかったかな?と思わずきょろきょろしてしまいますが

いっぱい失敗してもいいとは(いや、そこまで言ってない)、なんと温かい言葉でしょう。

そういった手厚い対応のおかげで、この、けっこう難しいくせに?、地道で単調なびわの袋かけ作業に対して

よし、今日はひとつも無駄にしないぞ

とか

焦らないで、正しい袋かけのスキルをまず身体に叩き込むのだ!

というように腰を据えて取り組めていると思います。

最初から、袋の数を目標にされたり、熟練者に早く追い付くように言われたりしていたら、きっと嫌になっていたでしょう。

人材を育てることは、急がば回れなのかもしれません。

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業界によっては、他の人の背中を見て自分で覚えなさい、とか、痛い目に遭いながら身体で覚えるしかない、などと突き放されることも多いようですし、こんなにじっくり成長していいよと言ってもらえる職場や先輩に巡り合えたことに、ひそかに感動しています。

ましてや、30代後半、40代になってからの転職

プライドや経験が邪魔して、「できません」「知りません」「教えてください」がなかなか言いづらく

無理して分かるフリをしてしまい、かえって適応することが難しくなるものですので。。。


また、前職で、問題行動のある子どもたちを施設に預かり、生活指導をしていた頃

大変でも、最初にたくさん子どもに目をかけ、愛情をたっぷり注ぎ込めば

いつのまにやら、あとは子ども自身の力で直っていく、伸びていくなあと感じることがありました。

それを、今自分がしてもらっているんだな、40代の新人を温かく見守ってくれてありがとう、という気持ちでいっぱいです。


これから農業やってみたいなと思っている方。人生の一大決心して農業に飛び込んできた人に、農家の先輩方は優しくかつ気長に成長を促してくれるようですよ。

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福原祐美

千葉県南房総市在住です。
内房線富浦駅から徒歩50分のところにある「福原農園」が仕事場、兼、住まいです。
アラフォーです。

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房州びわを手にとる人に、「びわ農家がどんなことを考えて、どれぐらい手をかけて、びわを育んでいるか」を遠くからでも知っていただけたらなあ、そして福原農園をもっと身近に感じていただけたら嬉しいなあという気持ちでおります。

最近まで20年くらい福祉のお仕事に就いていましたが、突如、自然豊かな南房総で就農することを思い立ちました。

「対人のお仕事から作物を育てるお仕事へ」「都会の喧騒に囲まれた生活からTHE田舎暮らしへ」「独身貴族から農家の長男の嫁に」。。。といういくつもの転身を経て日々感じていることも、好き勝手に書こうと思っています。

色々な方と交流することでより人生は深まると考えておりますので、コメントはお気軽にどうぞ。いつでもお待ちしています。