FC2ブログ

イノシシ戦記〜ウリウリ兄弟との激闘編〜

びわってこんな風に育ててるんだ
08 /01 2018

房州びわと山の幸 福原農園のHPはこちらから


こんにちは。就農2年目の福原です。あちこちで見事な百日紅の花を見かけます。真夏でも元気だなぁ。

B529642D-12C4-4118-BDBB-8BA22FFEEF5B

さて、あっという間に7月が過ぎて行きました。あまりに早く夏が来たもんだから、もう夏も後半な気分ですが、今やっと8月とは!

C7B4E850-FD90-4610-AE30-5329B25165ED

(弱って落ちてきたヒグラシを愛でる。蝉の命は短い)

びわ農家(いや、福原農園だけかも?)は、毎年7月は繁忙期直後のため、意識的にぐうたら過ごしているのですが

今年の7月は違いました。猛暑だろうが酷暑だろうが、やらなければならないミッションがあったのです。

8E6A0693-7412-492B-9E7B-CABCBDCB54B7

それは、このブログでも何度も話題にしてきたイノシシ対策の拡充。なぜこれが喫緊の課題かと言うと

毎年びわの時期(5・6月頃)には、イノシシがびわを狙って集まってくるので、びわ山全体に電気柵を張り巡らすことにしていましたが(電気柵とは何かはこちら→過去の記事

563B37CA-6396-43C5-BFD9-382DE82F8D0D

(オレンジ色の線にイノシシが触れると感電する)

今年は、異常気象の影響でびわの旬が大幅に早まったせいで、収穫前に行うべき作業に充てる時間が圧倒的に足りず。。。苦肉の策として、草刈りをはしょったり、電気柵を張らないで済みそうなところは張らなかったりという選択をしました。これがいけなかった。

収穫直前、びわ山にイノシシが侵入し、びわの実を食べてしまったのです。見ると、私が乗ってもビクともしないような太い枝が何本も折られていました。その下には、数え切れないほどのびわの袋が落ちています。

31394816-6A75-426F-A7C5-8C92E9714A25


2F5030D6-ECF3-4AE4-B184-B3D4CA3169F1

(びわが入っていた袋が散乱。よく見ると、袋だけで中の実はなくなっているものが多い。まだ熟していない緑色の実も食べていることが分かる)

どのびわ山も、基本的には何らかの防獣柵で囲っており、電気柵を張らなかったところにも電気の流れないタイプの柵は設置してあったのですが、メンテナンスが行き届いていませんでした。

F351B99E-A5F9-47A6-89E9-9334CE4CF7A0

(草で柵がどこにあるのかもう分からなくなっている箇所も。これでは異常があってもすぐには気付けない)

山は生き物であり、雑草の繁茂の勢いもさることながら、大雨や強風などにより刻々と姿を変え、人間が設置したものをことごとく機能しなくさせてしまいます。だから、こまめなチェックが大切なのです。

2474ABE4-EDA1-4CBF-AAC9-BE5C69EDC4F2

(落石や流木によって歪んだ、ワイヤーメッシュと呼ばれる金属網)

びわの時期には、どうせ(既存の柵に加えて)電気柵も張ってダブルで守るんだから、大丈夫でしょ 」という油断があったかもしれません。実際は、どんどん熟していくびわに追い立てられ、イノシシに対して十分な備えが出来ずじまいでした。

最初にイノシシが侵入していることに気付いた私達は、急いで応急処置を行いました。日没までに何とかしないと今晩にもまた入られてしまう。時間との戦いです。

6EFD5B0F-4B4F-4DF8-80DB-8AB8C9C21132

しかし、翌日行ってみると、昨日補強した場所は破られていないものの、また別のルートから入られていた形跡がありました。

今年はただでさえ、びわは不作になる向きが濃厚(不作となった詳しい状況はこちら→過去の記事)。びわを注文してくださったお客様に発送するびわが足りるか足りないかギリギリの瀬戸際で、イノシシにびわを盗られている。。。

4515288F-6E8F-4624-AC85-EEBFA900BB30

(イノシシが頻繁に通行しているけもの道)

一年のうち数週間しかとれないびわ。それ以外の時期は、美味しいびわをたくさん作りたいという一心で、数々のケアをびわの木に施しています。それらが次々と思い出され、悔しさと共に同じ言葉が頭の中を何度もぐるぐるしました。

イノシシに食べさせるために育ててるんじゃない

私がびわ農家になってから、イノシシの脅威については度々家族や周囲の人から聞かされていましたし、被害の状況を実際に見たこともありましたが、事の重みがここまで自分の身に迫ったのは初めてでした。

びわ農家としてのイノシシへの危機意識が低かったのですから自業自得、十分な備えをしていればこんなことにならなかったのは事実なのですけど、この時からようやく私はイノシシの存在を怖いと感じるようになったのです。

60BCAC2F-4898-4912-8448-2F0CF6C2A9AA

(私の柵の設置の仕方がマズくて、イノシシがくぐり抜けたと思われる場所)

イノシシが、人間より優っているもの。それは彼らが山に居る時間の長さです。昼間は木陰で休んでいて、暗くなってからは農家の設置した柵の向こうにどうしたら行けるか、鼻先で押してみようか、土を掘ってくぐろうか、柵がぐらついているところがないか探してみよう。。。と夜通し研究しているに違いありません。

D2E5D592-BDE0-4F38-8A9C-3F5C19C3F90C

(イノシシたちが集団で通った場所は、草がドロだらけなのですぐに分かる)

また、知っておかなければいけないのは、びわの時期にイノシシの頭数が一年で最も多くなること です。イノシシのメスは、4~5月に出産シーズンを迎え、毎年5頭前後の子どもを産みます。子どもたちは一歳くらいになるまでは、母イノシシと一緒に暮らすと言われています。

母イノシシも必死なのでしょう。びわの実がたくさんついた枝が折られているのはそういう訳です。前足をかけてその体重で地面近くまで下ろした枝のびわを、ウリ坊たちに食べさせようとしているのです。そんな時期に美味しくなるのがびわなのだから、びわを守るためにはこちらも髪を振り乱してやらねば。

8EC0126B-0404-41AB-B95D-9C5DB32441C8

(枝を折られると、しばらくびわの木のエネルギーはその再生に使われ、実の数が減ってしまう)

そういう訳で、収穫が終わった福原農園では、「収穫の時だけびわ山を守ればいいや」という考えを改め、イノシシに「この柵の中の食べ物は、人間のものだから食べられないんだ 」ということを一年中理解させ、あきらめさせる必要があることを肝に命じ、行動しました。

まず、収穫期は応急処置で済ませていた防獣柵を、全体的に確認、念入りに補強しました。具体的には、支柱の数を倍に増やし、強度の高いものを新たに買い足して使用しました。

2AB431BC-BB3D-4DB9-82DB-9A1A74BE06BF

また、防獣柵を設置するより、電気柵の方が管理しやすい立地の山については、一年中24時間電気柵を作動させることにしました。電気柵は、雑草や倒木などで電圧が下がってしまうリスクもあるので、メンテナンスの頻度も見直しています。

F2568D60-6BD0-4D84-8348-EC71CBEE1858

(電線の周りの草刈りは丁寧に)

しかーし、ここでまた新たな事件が。防獣柵の補強の最中に、びわ山の中でイノシシを発見! しかも4匹!! あれあれ、よく見るとどいつも小さいな。。。

E48A16B0-F11B-4605-BCAC-1016D327AFA9

今年誕生した、生後2~3か月とおぼしきウリ坊たち。普通なら、母イノシシと共に行動しているはずですが、ウリ坊たちのみ。それもそのはず。この山の防獣柵(ワイヤーメッシュ)の一つのマス目は15センチ四方。その一番下の部分をするっと通過して入っていたのです。母親は近くにいるかもしれませんが、侵入することはできません。

1B4B0AD5-E105-48A9-92F8-49590D06CC57

私は思わず おい~っ!!

と遠くに見えるイノシシに突っ込んでしまいました。だって、あまりに普通に通り抜けていたのと、走り回っている様子が子豚のレースみたいだったので。。。一般的にイノシシは臆病で、人間の前にはなかなか姿を見せないのですが、このウリ坊たちときたら、まだアンテナの感度が低く警戒心が弱い!

E32325FA-CD93-447B-8126-9534D2384588

(お尻が大きい子は柵の外に逃げ出す際、お尻がはまっていた。。。それをモニターする上司)

ウリ坊お尻

私達は、イノシシ以外の小動物(タヌキやウサギなど)も、イノシシほどの脅威ではないものの、びわを横取りしたり、傷つけたりすることがあるため、それら小動物対策としてアニマルネット(素材はポリエチレン)を金属柵に重ねて張り始めていました。

93E77B3E-14F6-446A-9D28-8FCF2912286C

しかしその翌日も、ウリ坊たちは福原農園のびわ山で遊んでいました。人間の気配に気付くと、驚いて逃げていきます。すでにマス目がふさいである場所から逃げようとして、アニマルネットにぼよーんと跳ね返されているウリ坊もおり、ちょっとウケましたが笑っている場合ではない! 見てろよ~。あと少しで完全にびわ山に入れなくしてやる~。私は、彼らをウリウリ4兄弟と呼んでいました。

DA7D9DC7-93E1-44FE-A9D4-B019A7AA338F

(地面との間に侵入者が入る隙間はない)

その翌日も、ウリウリ兄弟たちは、びわ山に来ていました。昨日ネットを張った場所からは入れなくなっているので、まだ張り終わっていない箇所を見つけて侵入したと思われます。びわの収穫が終わったびわ山にはそんなに彼らのご馳走はないはずなのですが、土を掘ってミミズを探しているようでした。足跡もあちらこちらにあります。

05A9A66A-7DA7-4CA9-B7D5-1DD5F8A9749D

(金属網のマス目から出入りした証拠)

0A842833-EF81-43AE-93EC-B22BD82FD4C6

(小さなハートの蹄)

このウリウリ兄弟たちとの攻防?は、広~いびわ山全てにアニマルネットを設置し終わるまで続いたのです。そして、ついにネットを張り終わるという頃に、またまた思わぬ事件が起こったのです。

ご近所の箱罠にウリ坊が一匹捕まりました。

D0C7F35B-680C-4EFF-95E6-813D024FA2E5

とても小さいウリ坊です。箱罠から出ようと思って何度も頭をぶつけたらしく、額から血を流していました。ウリウリ4兄弟の一人なのかどうか、一頭一頭に目印があるわけではないのでそれは分かりません。でも、福原農園のびわ山に自由に入れなくなったウリウリ兄弟の一人かもしれないと思いました。

そのウリ坊は、しばらくして有害鳥獣駆除員の方の軽トラで運ばれて行きました。駆除員の方の「可哀想だけどよ、仕方ないよな 」という言葉が忘れられません。

9CBC5592-2C6B-4847-BDDF-A70E9B6921BF

ウリ坊は全てが大人のイノシシに成長するわけではありませんが、一頭生かしておけば、来年には何倍にも増えてしまいます。福原農園では、このままイノシシによる被害が拡大し続けたらびわ農家としての死活問題です。南房総市でイノシシの被害が出始めた十数年前には、びわ農家の仕事の中にイノシシ対策はありませんでした。必要なかったのです。

私は、TVで動物番組を観るのが好きで、ペットと家族、動物園の動物と飼育者との感動的な物語、時には野生動物の保護活動についてのVTRに涙することもあります。その一方で、同じく野生動物であるイノシシの生活圏を今農家という立場で奪おうとしていることに、複雑な気持ちになってしまうことがあります。

9A61334F-1794-4BF9-BE2C-8838B4A52629

まだまだびわ農家として考えの整理はできていませんが、現時点では、イノシシと人間との棲み分けラインを明確にすることで、イノシシと人間両方の利益を守ることになるのではないかと信じ、これからも防獣策をしっかりと実行していこうと思っているのです。長々とお読みいただき、ありがとうございました。

IMG_6546



房州びわと山の幸 福原農園のHPはこちらから

よろしければ、下のランキングボタンのクリックをお願いいたします。

農家ランキングへ

ブログサークル
ブログにフォーカスしたコミュニティーサービス(SNS)。同じ趣味の仲間とつながろう!


スポンサーサイト

コメント

非公開コメント

福原 祐美

千葉県南房総市在住です。
内房線富浦駅から徒歩50分のところにある「福原農園」が仕事場、兼、住まいです。
アラフォーです。

IMG_0153[2]


房州びわを手にとる人に、「びわ農家がどんなことを考えて、どれぐらい手をかけてびわを育てているか」を遠くからでも知っていただけたらなあ、そして福原農園をもっと身近に感じていただけたら嬉しいなあという気持ちでおります。

また、20年くらい福祉のお仕事に就いていましたが、突如、自然豊かな南房総で就農することを思い立ち、色々あって嫁いでしまいました。

「対人のお仕事から作物を育てるお仕事へ」「都会の喧騒に囲まれた生活からTHE田舎暮らしへ」「独身貴族から農家の長男の嫁に」。。。といういくつもの転身を経て日々感じていることも、好き勝手に書こうと思っています。

色々な方と交流することでより人生は深まると考えておりますので、コメントはお気軽にどうぞ。いつでもお待ちしています。